サブマリーナ・GMTマスターIIの希少バリエーション|赤サブ・ハルク・バットマンを解説

モデルガイド

ロレックスの定番スポーツモデルであるサブマリーナとGMTマスターIIには、通常のラインナップとは一線を画す「希少バリエーション」が数多く存在します。生産期間がごく短かったモデルや、経年変化によって生まれた個体、特別な愛称で親しまれる限定色モデルなど、知れば知るほど奥が深い世界です。こうした希少バリエーションを知っておくことは、単に知識を深めるだけでなく、実際に中古市場で個体を選ぶ際の判断材料としても役立ちます。この記事では、両モデルの代表的な希少バリエーションを紹介します。

サブマリーナの希少バリエーション

ロレックス サブマリーナ
Photo by Daniel Hay on Unsplash

①赤サブ(Ref.5513/1680)

「赤サブ」とは、1970年代に製造されたRef.5513およびRef.1680の一部個体に見られる、文字盤の「SUBMARINER」の表記が赤色になっている希少バリエーションです。通常は白色で印字されるこの部分が赤色になった理由は諸説ありますが、明確な公式見解はなく、限られた期間にのみ製造されたことから、ヴィンテージサブマリーナの中でも特に人気の高い仕様として知られています。赤サブと通常個体の見分け方は、文字盤ロゴの色を確認するだけなので比較的分かりやすいのも特徴です。Ref.1680はサブマリーナで初めてデイト表示機能を搭載したモデルでもあり、赤サブはその中でもごく一部の期間にのみ製造されたバリエーションとして位置づけられています。

②トリプルゼロ(Ref.168000)

Ref.168000は、1988年前後のわずか1年ほどの期間にのみ製造された、非常に希少なサブマリーナです。型番の下3桁がすべてゼロであることから「トリプルゼロ」という愛称で呼ばれています。外観は前モデルのRef.16800とほとんど見分けがつきませんが、使用されているステンレス素材が変更されている点が特徴です。生産期間の短さから流通量が極めて限られており、コレクターの間で高い注目を集めています。短命に終わった理由についても諸説ありますが、次世代モデルへの移行期における過渡的な仕様であったことが背景にあると考えられています。

③Ref.5512(中間機種としての希少性)

Ref.5512は、ノンクロノメーターのRef.5513と、デイト付きクロノメーターのRef.1680の「中間」に位置する機種として製造されました。クロノメーター認定を受けたCal.1570ムーブメントを搭載しながらもデイト表示がないという、やや中途半端な立ち位置ゆえに販売数が少なく、結果として流通量の少ない希少モデルとなっています。サブマリーナの歴史において、初めてリューズガードが採用されたモデルとしても知られています。Cal.1570は、ハック機能(リューズを引くと秒針が停止する機構)を備えた名作ムーブメントとしても評価されており、同時期のエクスプローラーやデイトジャストにも幅広く採用されました。

④116610LV(通称ハルク)

2010年に登場した116610LVは、グリーンの文字盤とグリーンのセラミックベゼルを組み合わせた、非常にインパクトのある特別モデルです。この鮮やかな配色から、映画のキャラクターにちなんで「ハルク」という愛称で親しまれています。生産終了後も高い人気を維持しており、中古市場でも安定した需要があります。なお、2003年のサブマリーナ生誕50周年モデル(Ref.16610LV)は緑ベゼル×黒文字盤という異なる組み合わせで、通称「カーミット」と呼ばれており、ハルクとは別のバリエーションとして区別されています。

GMTマスターIIの希少バリエーション

ロレックス GMTマスターIIを着用したイメージ
Photo via Pexels(無料ライセンス)

①初代バットマン(Ref.116710BLNR)

2013年に登場したRef.116710BLNRは、セラミックベゼルとして初めて2色(黒×青)を組み合わせたモデルで、「バットマン」という愛称の元祖です。1983年に初代GMTマスターII「ファットレディ」(Ref.16760)が登場してから、ちょうど生誕30周年にあたる年に発表されました。オイスターブレスレットを採用しており、2019年に登場した2代目(Ref.126710BLNR、ジュビリーブレスレット仕様)とは仕様が異なります。生産終了後、店頭にはほとんど並ばない人気モデルとして、プレミアム価格が続いています。基本性能は単色ベゼルの116710LN(2007年登場)と同等ですが、2色ベゼルの製造コストが上乗せされているため、発売当初から定価がやや高く設定されていました。GMT針は専用のブルー仕様となっており、単色ベゼルモデルとのベゼル交換はできない仕様になっています。

②スマーフ(Ref.116619LB)

ホワイトゴールド製のケースに、鮮やかなブルー一色のセラミックベゼルを組み合わせた特別なモデルです。この青一色の配色が、青い肌のキャラクターで知られるアニメ「スマーフ」を連想させることから、この愛称で呼ばれるようになりました。116610LV(ハルク)と同様に、キャラクターにちなんだ愛称を持つ希少モデルの代表格です。

③ホワイトゴールド・ペプシ(Ref.116719BLRO)

赤と青の「ペプシベゼル」を、ホワイトゴールドのケースと組み合わせた特別なモデルです。ステンレスモデルでのペプシベゼル復活(Ref.126710BLRO、2018年)よりも先に登場しており、フルゴールドならではの重厚感と、ペプシカラーの華やかさを両立した希少な組み合わせとして知られています。セラミックベゼルでペプシカラーを実現するには高度な焼成技術が必要とされており、その技術的な難易度の高さも、このモデルの資産価値を支える要因の一つとされています。

なぜロレックスには「愛称」が多いのか

ハルク、バットマン、スマーフ、赤サブ——ロレックスのスポーツモデルには、公式のモデル名とは別に、ファンの間で自然発生的に生まれた愛称が数多く存在します。これは、ロレックスが型番による製品管理を徹底する一方で、モデル自体に個別の愛称を公式には付けないという方針を貫いてきたことが背景にあります。無機質な型番だけでは覚えにくく語りにくいからこそ、色や特徴からイメージしやすい愛称が自然発生し、それが時計ファンの間で定着していったと考えられます。

こうした愛称文化は、単なる呼びやすさだけでなく、モデルごとのアイデンティティを際立たせる役割も果たしています。「グリーンベゼルのサブマリーナ」と言うよりも「ハルク」と言った方が、一瞬でどのモデルかが伝わり、コミュニティの中での会話も弾みやすくなります。希少バリエーションほど印象的な愛称がつきやすい傾向があるのも、時計ファンの間での話題性の高さと無関係ではないでしょう。

希少バリエーションを選ぶ際の注意点

希少バリエーションは、通常モデルに比べて相場が大きく変動しやすい傾向があります。人気の愛称がついたモデルほど、市場での注目度が高く、正規価格を大きく上回る価格で取引されることも珍しくありません。購入を検討する際は、複数の専門店で相場を確認し、状態や付属品の有無もあわせてチェックすることをおすすめします。

また、経年変化によって生まれる希少性(赤サブの発色など)については、個体差が大きいため、実物を見て自分の目で確認することが大切です。写真だけで判断せず、可能であれば実店舗で実物を確認してから購入を決めるとよいでしょう。

ヴィンテージモデルの希少バリエーションを購入する場合は、特に真贋の見極めが重要になります。赤サブのような色違いは、需要の高さゆえに巧妙な偽造品も存在するとされているため、鑑定実績が豊富な専門店を選ぶことを強くおすすめします。現行モデルの生産終了品についても、書類や付属品が本来の組み合わせと一致しているかを確認しておくと、将来売却する際にも安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 赤サブはなぜ赤色になったのですか?
A. 明確な公式見解はありませんが、特定の製造時期における文字盤の仕様や塗料の違いによるものと考えられています。

Q. ハルクとスマーフ、どちらが希少ですか?
A. どちらも生産数が限られた人気モデルですが、流通量や状態によって相場は変動します。購入時期の市場状況を確認することをおすすめします。

Q. 初代バットマンと2代目、どちらを選ぶべきですか?
A. オイスターブレスレットの実用性を重視するなら初代、ジュビリーブレスレットの上品さを重視するなら2代目が向いています。

Q. こうした希少バリエーションは今後さらに値上がりしますか?
A. 将来の価格動向を確約することはできませんが、生産終了モデルは流通量が限られているため、状態の良い個体は今後さらに希少になっていく可能性があります。


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